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ビジネス情報学部 パリ研修レポート(2023年度)

コロナ下で実施を見合わせていた海外研修を2024年2月5日(月)〜11日(日)の現地4泊の日程で4年振りに再開しました。今回の訪問地はフランス・パリ市と郊外のギュイヤンクール市です。フランスと言えば、芸術、グルメ、ファッションがまず思い浮かびますが、ユネスコ、OECD、EUなどの国際機関も数多く存在する他、2024年パリオリンピック・パラリンピックの開催地でもあります。

 

この国際都市パリでの研修の柱は、@パリ日本文化会館でのフランス人を対象にした絵手紙ワークショップ主催、Aユネスコでの国際会議傍聴・施設見学・レクチャー、Bフランスグローバル企業でのインターンシップです。内容盛りだくさんの、当学ならではの手作りメニューの研修プログラムでした。

 

今回は、法人から澁谷朋子理事長、澁谷正志総局長、落合春彦企画広報部長の参加も得て、2年生から4年生までの学生9名と合わせて総勢13名での渡航となり、大変充実した有意義な研修になりました。

 

2月5日(月)出発日
学生参加者は9名全員が初の海外渡航でした。ツアー参加の意識ではなく、一人で海外渡航するというイメージでの行動を心掛けました。羽田空港でのチェックインカウンターの探し方から、搭乗手続き、手荷物検査、出国審査、両替などを一人ひとりでこなしました。

当日はあいにくの大雪で、関越道が閉鎖。予定していた大学バスでの移動を断念し、急遽新幹線、JR、モノレールを乗り継いで伊勢崎から羽田空港第三ターミナル(国際線)に向かいました。搭乗までの時間を利用して、現地で最低限必要なフランス語挨拶を繰り返し練習したことが、パリ到着後に大いに役立つことになります。午前1時発のエールフランス293便は、主翼についた氷を取り除く作業のため、1時間15分遅れで離陸。ロシアのウクライナ侵攻によりロシア上空が飛行できず、アラスカ・北極を迂回したため通常の直行便12時間を上回る14時間半のフライトでした。

 

2月6日(火)一日目「パリ市内視察」
現地時間午前8時45分、パリ・シャルルドゴール空港に到着。エールフランスでしたので機内食は美味しいフランス料理で、機内モニターのコンテンツは映画、ドキュメンタリー、バラエティーなどフランス物が充実していて、長時間のフライトでしたが既に心はパリに飛んでいました。初日は五感を研ぎ澄ましてパリを肌で感じる日です。各自が交通系ICカードNavigoを購入して、公共交通機関(地下鉄・路線バス・仏国鉄)を利用して市内を視察しました。

ホテルにチェックイン後、まずは最近パリっ子に人気のガレット・クレープ屋さんで腹ごしらえです。2枚重ねの名物ガレットを焼く様子を動画撮影させてもらったりしてフランス人店主、コック、ウエイトレスとの交流が開始され、食後の飲み物は店からサービスしてもらいました。再建間近のノートルダム大聖堂を見学した後、モンマルトルの丘へ登り、サクレクール寺院、テルトル広場を巡った後、アレクサンドル三世橋からエッフェル塔を眺め、
オリンピックでマラソンのゴールになるアンヴァリッド、コンコルド広場などを見学しました。小雨の中でしたが、全員が意気揚々と走行距離12kmを踏破しました。

 

 

2月7日(水)二日目「国際機関視察と国際文化交流」
夕方から実施する絵手紙ワークショップの道具をパリ日本文化会館に搬入。徒歩でセーヌ川の自由女神像を見学した後、街角のカフェで好みの飲み物を各自がフランス語で注文し、一服して午後の活動に備えました。

この日は昼から主要なイベントが二つ重なる多忙な一日で、まずはユネスコです。ユネスコ日本政府代表部に勤務する一等書記官の案内で、庭園や一般見学ルートでは見られない館内の裏側も視察。ちょうど国際会議(「2024 Conference on Education Data and Statistics−教育データと統計に関する会議2024」)の開催初日に当たり、会議場に入り195ヵ国が出席する国際会議の様子を目の当たりにしました。その後、ユネスコ職員専用食堂で、エッフェル塔と陸軍士官学校を間近に眺めながら、加盟各国からの様々な国籍の職員らに交じって昼食を取りました。本部から徒歩5分にある日本政府代表部のオフィスに移動して、参事官からユネスコの活動と、特に日本が果たしている役割に関するレクチャーを受けました。日本の貢献度が想像以上に大きいことを誇らしく思う一方、レクチャー後の活発な質疑応答で、良好な国際関係を構築するのがいかに重要で、また困難かという現状に改めて気づかされたセッションでした。

 

パリ日本文化会館に移動し、絵手紙ワークショップに先立って館内を見学しました。同館は日本文化をフランスに発信する公的機関です。フランス人に日本を身近に感じてもらおう、興味を持ってもらおうとする様々な活動を見たり聞いたりして、改めて文化面での交流も良好な国際関係を築くには重要だと感じました。
ワークショップは、澁谷総局長による上武大学と群馬県についてのプレゼンテーションで始まり、フランス人の中には温泉や「頭文字D」で群馬を知っている人もいて、スムーズなスタートとなりました。絵手紙に関しては、学生は事前に澁谷理事長から講習会で直接手ほどきを受けています。フランス人8名と会館職員2名が参加し、1テーブル4人で5班に分かれ、学生1〜2人が各テーブルにつきました。初めは自身でも描きながらフランス人に伝えることの難しさを痛感しましたが、合計3枚を描き、枚数を重ねるごとにコミュニケーションがうまく取れるようになりました。参加者は日本語を学んでいるフランス人ですが殆どが初心者なので、日本語、フランス語、英語を駆使してジェスチャーも交えながら交流を図りました。手を描いた際のフランス人の構図や色使いが独特で感性が違うなと感じる場面も多く、例えば、手のひらの方を茶色に塗ったり、甲の血管を青く描いて老いた手を際立たせるなどです。各人が作成した内の1枚をフランスから大学宛に郵送してもらい、理事長から絵手紙で返信をした上で、受領した絵手紙は高崎キャンパスにある「絵手紙ギャラリー&ミュージアム」に展示する予定です。今回のワークショップは小規模でしたが、実のある草の根外交が実現できたと言えます。
ワークショップが終了したのは夜8時半と遅くなりましたが、会館近くにあるエッフェル塔のイルミネーションを堪能してから帰路につきました。

 

 

 

2月8日(木)三日目「仏グローバル企業視察とパリ郊外」
この日はパリ郊外にあるソデクソ・フランスでのインターンシップ。ソデクソグループは、社食や病院での食事提供、建物の設備管理・清掃・警備・受付など、アウトソーシングでファシリティマネジメントを請け負う超グローバル企業です。世界45ヵ国にわたりグループ全体で従業員43万人、売上高3兆6千億円で、従業員数で見るとフランス私企業中トップに位置します。その中で、ソデクソ・フランスはグループの中核的存在で、従業員2万8千人、売上高4千億円で、ミシュランの三ッ星レストランを始め有名レストランを傘下に置いていることにも驚かされましたが、従業員の54%が女性で、障がい者雇用率が6.1%、更にはその雇用条件や昇進について差をつけないという日本では考えられない数字や対応の仕方に圧倒されました。社長(創業者の娘)の確固たる方針が末端まで浸透している結果だそうです。ソデクソは2024年パリオリンピック・パラリンピックの公認スポンサー兼サービス提供者で、選手村全体に加え、約半数の競技会場での食事提供や施設管理を請け負っています。社内を案内してもらいましたが、明るいオフィスの中、皆が自由な服装で、ゆったりとした雰囲気で仕事をしたり、ミーティングしたりする様子を見て、こんなところで働いてみたいと思いました。社員食堂で社員と一緒に昼食を取りましたが、セルフサービスでとてもバラエティーに富んでいたので選ぶのに一苦労でした。しかもどれも美味しくて、さすが食のフランスだと実感させられました。
午後は近郊のヴェルサイユ宮殿を見学しました。

 

 

2月9日(金)最終日「ショッピングと反省会兼晩餐会」
パリ12区の常設市場・青空市場で活気ある早朝のアリーグル市場を視察し、パリっ子の胃袋を覗きました。地下鉄が事故でストップしたため、急遽タクシーでの移動に切り替えました。4車線ある一方通行の道路では、3車線が自転車専用になっていて市内への自家用車乗り入れを抑制する政策が見て取れました。凱旋門からシャンゼリゼ大通りを散策し、昼食後にオペラ座に近いデパート「ギャルリー・ラファイエット」でショッピング。その後、ルーブル美術館を見学しました。
最終日夜は5区にあるレストランでの晩餐会兼反省会です、パリ国立高等音楽院(コンセルヴァトワール)に留学中の大学院生を招いて、パリの生活について生の声を聞きながら、最先端フレンチのフルコースを味わいました。会話がはずみ、いつの間にか3時間半が過ぎ、路線バスを使ってパリの夜景を鑑賞しながらホテルに帰着しました。

 

 

2月10日(土)帰国日
午前6時、ホテルをチェックアウトしシャルルドゴール空港へ。一人ひとりで免税手続き、チェックインを完了。出国審査、手荷物検査を経て、免税店での買い物後、エールフランス282便に搭乗。機内では最後のフランス料理を味わいました。

 

2月11日(日)帰国
帰路は、中央アジア上空を飛ぶルートで、偏西風の効果もあって13時間のフライトです。
大学バスの迎えで、昼前に伊勢崎キャンパスに到着しました。

現地滞在4日間と限られた日数ではありましたが、時間を有効にフル活用して得難い経験をしました。異文化に直接触れることで気づきや思考、コミュニケーションなどの力が日毎に高まっていく実感が得られました。自身で考える癖がつき、積極的な態度で自ら行動する自主性が身に付き、とても有意義な研修でした。



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