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ビジネス情報学部シンガポール研修レポート

2013年9月1日〜6日、参加学生9名と教員1名により、ビジネス情報学部(アジア事情を学ぶ)のシンガポール研修が行われました。 かねてより、工業化政策に成功し、現在では、所得水準が日本よりも高く、世界有数の金融センターの役割を果たしているシンガポール。毎年多くの観光旅行者が訪問する一方、華人、マレー人、インド人等が共存する多民族国家のシンガポール。2002 年の経済連携協定(EPA)締結以降、日本との間でも、モノ、サービス、カネ、ヒトの移動がより円滑になり、最近では、日本の文化、ファッション、ポップ・カルチャーが注目されているシンガポール。
以上より、日本はもとより、グローバル化が進展する中、近い将来、何らかのビジネスに携わるだろう本学学生にとっても、この国から学ぶべき点は大変多いと思われるため、今年度から本研修を開始させましたが、実際、現地の関係各所を訪問し、シンガポールの歴史・経済・社会、日本企業のシンガポールでの活動状況、日本のシンガポールでの位置付け等を学んだところ、学生たちにとって大変刺激が大きく、有意義な研修を実現することができました。

[2013.9.1]

大学のバスに乗って成田国際空港に着き、日本航空719便で出発。疲れを癒すべく睡眠する人もいれば、映画、音楽、ゲームなどのアトラクションが充実した個人モニターをずっと楽しむ人もおり、各自がそれぞれの時間をゆったり過ごしながら、約7時間で赤道直下にあるシンガポール・チャンギ空港に到着。 入国審査と通関を無事に終えた後、手配旅行社の現地スタッフの案内の下、専用バスでホテル(Royal@Queens)まで直行。もう夕方6時を過ぎていたので、皆ですぐ近くの「ホーカーズ」と呼ばれる、シンガポール名物のフードコートで夕食を取りました。シンガポールでは、女性が家事に専念する習慣があまりなく、外食文化が強く根付いているため、安くて手軽に利用でき、そして、中華、マレー、インド、インドネシアなど、いろいろな料理が愉しめるホーカーズが街中にあります。ちなみに、熱帯気候で年中蒸し暑いシンガポールですが、この時期に日本で記録的な猛暑を経験していたため、我々は、それほど違和感なく、現地の気候に触れることができました。

[2013.9.2]
研修2日目。まず、午前中にホテルのすぐ近くのシンガポール国立博物館を訪問しました。ここでは、運が良いことに、ボランティア・ガイドの方による説明が加わることとなり、シンガポールの由来、英国による植民地支配時代や戦時中の日本占領時代の状況、シンガポール独立の経緯など、じっくりとシンガポールの歴史を学び取ることができました。その中でも、多くの学生たちは、戦時中にシンガポールでも少なからず犠牲者が発生したという過去を学んだことから、改めて、戦争の持つ残忍さや悲惨さを強く痛感したようでした。 午後は、大手広告代理店として知られている電通のシンガポール事務所を訪問し、日本の文化の普及を志向し、コンテンツ産業や伝統文化などを海外に売り込む「クールジャパン戦略」において、同社がシンガポールでこの戦略にどのように関わっているのかについて、同所員の木村平氏及び笹谷知美氏から話を聞きました。ここでは、主に以下の事項を学びましたが、学生たちにとって身近なトピックであったため、終始真剣に話を聞いており、質疑応答も活発でした。
●クールジャパンを東南アジア地域で拡大させていく狙いとして、「アニメ・フェスタ・アジア(AFA)」というプロジェクトが行われているが、メジャーなものよりも、あまり知られていないニッチなアニメを提示した方が、より高い経済的効果が得られる。
●今年から、人情が厚いとされる日本の若い女性の「かわいい」的な特徴を広めていく「ギャル・ラボ」というプロジェクトも始まるが、「かわいい」が子供っぽいと感じられるシンガポールでどのように理解してもらうかが今後の課題である
●シンガポールでは最近、日本にとってライバルになりうる韓国文化やポップ・カルチャー(K-pop)に対する熱も高まっており、クールジャパンを継続的に浸透させることができるかどうかは不透明。経済産業省が旗振り役となり、官民が一体となって、より強力に推進するべき。
●日本食や日本酒に対する人気は相変わらず根強く、シンガポールでも店が増加傾向にあるため、食は「クールジャパン戦略」の武器とするべき。  

そのほか、シンガポール貨幣博物館やスリ・マリアマン寺院(ヒンズー教寺院)を見学し、観光も楽しみました。そして、この日の夕食は、シンガポールらしい独特のプラナカン料理を堪能しました。プラナカンとは、マレーシア、インドネシア、シンガポールに渡ってきた中国からの移民が、地元のマレー人と結婚して生まれた子孫たちのことであり、ニョニャとも呼ばれます。要は中華&マレーのフュージョン料理のことで、唐辛子ベースの辛みとココナッツベースのマイルドさが程良く調和し、ボリュームもあり、美味しく食しました。


[2013.9.3]


研修3日目。午前中は、現地の日本大使館広報文化部が運営するジャパン・クリエイティブ・センター(JCC)を訪問し、同センター長代理の勝又晴美氏より、JCCの活動を紹介頂きながら、シンガポールに日本文化をどのように発信させているかについて、その現状を聞いてきました。JCCは、茶道や華道のような伝統的文化に加え、シンガポール人が最近になって関心を持つようになった主要5分野(アニメ、アート、建築、デザイン、ファッション)を中心として、直にそれらに接することのできるようなイベントを活発に開催しています。特にファッションの分野では、例えば、渋谷・原宿の若者に流行っている服飾や、シンガポール人のエコマインドが強いという現状に鑑み、環境に優しいファッションを紹介するなどの取組みが行われているそうです。また、電通でも話のあったとおり、やはりシンガポールで和食に対する関心は一層高まっており、ラーメン、焼き鳥、お好み焼き、たこ焼き等の専門店が増加するなど、枚挙に暇がありません。さらに、シンガポール人の間では、日本への観光旅行も人気が高まっているとのことでした。一時、東日本大震災の影響で客足が途絶えたものの、現在は復調傾向にあります。熱帯地域の国のせいか、涼しい地域への憧れが強く、中でも北海道が大人気のようです。JCCでも、やはり学生たちは興味津々で話をじっくり聴いていました。

その後、昼食を軽く済ませ、名物のマーライオンで記念撮影した後、MRTで南部に移動し、シンガポール国立大学(NUS)に足を運び、キャンパス内の風景を見学しました。とにかく大変広く、さまざまな施設や建物が犇めき合っているキャンパスでしたが、情報技術(IT)先進国のシンガポールらしく、至る所で、ノートパソコンやダブレットを操る学生たちを見かけました。そして、NUSキャンパス内にある博物館を訪れ、ここでは、中国やインドをはじめとしたアジア地域に古くから存在する陶器や芸術品を堪能しました。大学内にこういった博物館が存在するのは珍しいのですが、教育機関として、芸術品を通じて歴史を追求する啓蒙活動を推進していこうという現れではないかと感じられました。  

3日目の夕食はリトル・インディア(インド人街)にあるインド料理店でカレーを堪能しました。日本では考えられないぐらいのスパイスが利いた激辛のものから、比較的辛さが抑えてあり、野菜ベースのマイルドな味わいのものまで、あらゆる味覚を堪能でき、学生たちも普段食しているカレーとは違う魅力を見出し、美味しそうに頬張っていました。



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